松本純の海外リポート・外交

2008(平成20)年10月23(木)〜25日(土)

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公務】官房副長官として麻生太郎総理大臣に随行

写真で綴る概要報告

ASEM 中国・北京

 


10月23日(木)曇り 羽田→北京

●1900〜総理ぶらさがり取材/官邸4F大会議室

これからASAMに出張します。その直前のぶら下がり取材には、同行する私も一緒に同席します。アメリカ発の金融不安は世界に瞬く間に広がり、世界の経済の仕組みに多大な影響を与えています。この金融危機を乗り越えるためにアジアとヨーロッパの首脳が参加し意見交換を行うASEMでは、日本の過去の経験を示し、指導力を発揮したいと麻生総理は考えています。

●2000〜羽田発政府専用機にて→ASEMへ

私にとっては初めての経験で、政府専用機に乗り込みました。内部は総理夫妻、副長官、政府スタッフ、同行記者らで満席状態です。飛行時間は3時間余りで、あっという間に北京首都空港に到着しました。

●2245〜北京首都空港着→2320〜宿舎着打合せ

宿舎のホテルに到着すると、直ちに明日からの動きについて打合せが始まります。会議については総理を中心に、また表敬訪問など友好を深めるメニューについては麻生夫人が、それぞれ二グループに分かれて打合せが行われました。


10月24日(金)晴れ 北京

●0650〜総理勉強会/宿舎

今日の会議で発言すべき内容について最終確認が行われます。準備万端、打合せを済ませ、宿舎からあわただしく人民大会堂に向けて出発しました。

●0740〜ASEAN+3首脳非公式朝食会〜0845/人民大会堂

アジアでは現在の世界的な金融混乱の影響は見られないわけではないが、現状において、経済は比較的堅調で底堅い。但し、これからもこの世界的な金融混乱は続いていく可能性もあるので、そういった影響が今後、更にアジアに及んでいかないように注視していく必要がある、という点は参加者の意見が一致しました。今後の日本の対応は、今日の議論などを踏まえ、米国で近く開かれることになった「世界経済に関する首脳会議」にもしかるべくつなげていくことになります。

●0915〜日韓首脳会議〜0955/リージェント・ホテル

麻生太郎総理と李明博大統領の打ち解けた雰囲気の中で良い意見交換が行われ、非常に有意義な首脳会談になったと思います。議題としては「日韓関係」、「国際経済」、「北朝鮮問題」が取り上げられました。特に両首脳とも実業界出身という共通点があることが、信頼関係を構築する上で、大変意味があったと思います。

●1020〜温家宝総理との会談〜1100/人民大会堂

麻生総理への先方の期待感が強く感じられ、まさに肝胆相照らすという言葉がピッタリくるような親密かつ率直な感じがしました。麻生総理がグイグイと会談を引っ張っていく、その率直な語り口に真剣に耳を傾けていました。日中両国は「永遠の隣人」、「共益」の関係にあると述べられ、「国際経済・金融問題」、「食の安全」、「北朝鮮問題」、「電話会談」などについて議論されました。

●1118〜胡錦濤国家主席との会談〜1158/人民大会堂

温家宝総理と同様に各案件について意見交換が行われました。双方の信頼を伝え合う雰囲気は大変良いものであると感じられました。まさに言うべきことをしっかり伝え、「麻生総理スタイル」の「戦略的互恵関係」が受け入れられたと確信しました。

●1155〜記念写真撮影・日中平和友好条約締結30周年記念レセプション/人民大会堂

このレセプションでの麻生太郎総理の挨拶の冒頭は皆さんから大喝采を浴びるものでした。それは、「胡錦濤国家主席、宋健中日友好協会会長、並びに日本、中国を代表するご列席の皆様、ニーメン ハオ! ウォー シー マーション タイラン(皆さん、こんにちは!私が麻生太郎です)」とスタートしたからでした。上の写真は、その拍手を受けたときの笑顔です。

●1340〜総理ぶらさがり取材/宿舎

随行した記者らからスタートの状況について、これから始まるASEMについての取材に応えました。

●1425〜日独首脳会談〜1505/グランド・ハイアット・ホテル

メルケル首相との日独首脳会談においては、国際金融危機や世界経済の問題について時間を割いて議論が行われました。双方で、現在のような現状下において、自国の利益のみを考える政策は採るべきではないという点で意見の一致が見られました。

●1500〜副長官勉強会/宿舎

総理と別れて宿舎に戻りました。ブリーフィングのための整理が行われました。

●1600〜副長官ブリーフィング/宿舎

随行してきた記者団に、これまでの総理の動きについて報告しました。これを通じて日本の皆さんにマスコミを通じて会議の様子が報道されます。

●1600・1700〜開会式・第1回全体セッション/人民大会堂モニタリング・ルーム

開会式や全体セッションには各国首脳しか入れません。我々は別室の閣僚モニタリング・ルームで第1回セッションの様子をテレビで見ます。メモをとりながらのあわただしい取材活動を終えて、第2回目のブリーフィングの為に宿舎へ戻りました。

●2120〜総理事前打合せ/宿舎

内政懇(記者との懇談)が行われるため、事前の打合せが行われました。

●2145〜内政懇/宿舎

同行の記者さんと麻生総理が車座に座り、マイク無しで直接声が届く範囲で質疑が行われます。今回集中した質問は「解散時期」についてでした。総理はいつもの通り「解散時期は自分が決める」、「政局より政策」という基本的な考えを引き続き示しました。しかし、金融危機に対し国際社会の一員としての責任を果たさなければならない我が国の大変難しい立場を承知するマスコミは「まだ解散する時期ではないのではないか?」と受け止めたようです。

●2200〜大使館職員との記念撮影/宿舎

内政懇が終了すると別室で待っていただいた在中国日本大使館の皆さんと総理の記念写真撮影が行われました。


10月25日(土)晴れ 北京→羽田

●0800〜総理勉強会/宿舎

今日は昨日よりも少しゆっくり目の総理勉強会が開催されました。朝食を取る暇も無いほどの山盛りの資料です。

●0900〜第2回全体セッション/人民大会堂モニター・ルーム

閣僚モニター・ルームで今日もメモとりです。しばらくすると睡魔に襲われ、生あくびと涙との闘いになりました。

●0945〜日・パキスタン首脳会談〜1015/人民大会堂

麻生総理として初めてのパキスタン、ギラーニ首相との首脳会談でした。テロ対策と経済問題への対応について議論されました。またギラーニ首相より、日本の給油支援について謝意が表明されるとともに、その継続への期待が表明されました。

●1015〜第3回全体セッション/人民大会堂

再びモニター・ルームへ。その後、宿舎に戻り、宮本大使との昼食懇談会に出席し、中国と日本の関係について詳細の説明を受けました。

●1420〜日伊首脳会談〜1450/人民大会堂

ベルルスコーニ首相との日伊首脳会談が行われました。非常にリラックスした雰囲気の中で、二国間関係を中心に議論されました。また11月15日にワシントンで開催される「金融・世界経済に関する首脳会議」を成功させるために協力していくことで一致しました。

●1450(1400)〜第4回全体セッション/人民大会堂

残念ながら様子を確認する時間がとれず飛ばしました。

●1500〜日仏首脳会談〜1535/人民大会堂

11月15日の国際経済・金融問題に関する首脳会合に焦点を当てて議論が行われ、今後EU議長国であるフランスと我が国の間で緊密に協調していくことで意見の一致を見ました。そしてサルコジ大統領は、11月15日の会合で、今次危機に至った教訓を踏まえ、金融機関に対するより良い形での規制および監督の強化等の点について取り上げ、問題への対応に当たっては、21世紀にふさわしい国際体制を構築することが必要であると訴えました。

●1530〜閉会式/人民大会堂

麻生総理のみ出席され、私は宿舎へ移動し、ブリーフィングの準備に入りました。

●1550〜副長官ブリーフィング打合せ/宿舎

宿舎で先ほど行われた日伊、日仏の首脳会談の議事録の整理をして、その様子について記者団にブリーフィングしました。その後、総理も宿舎へ戻り、荷物の積み込みを終わりチェックアウトです。ホテルの皆さんにお見送りをいただき、次の会場へ移動しました。

●1730〜内外記者会見(20分)/国際倶楽部飯店

午後5時30分から20分間の内外記者会見は日本で中継(NHK18:30〜18:50)されたようです。麻生総理から冒頭に、第7回アジア・欧州首脳会合に出席し、43カ国37首脳と意見交換を行い、「国際経済・金融問題」、「気候変動」、「北朝鮮やアフガニスタンなどの地域情勢」について活発な議論を行ったこと、そして中国、韓国、ドイツ、フランス、イタリア等の首脳と戸別に会談を行ったことが報告されました。11月15日の金融サミットに向け、各国当局による協調の強化、経済成長のための政策の必要性、IMFの役割などについてまとめた宣言を主張することになります。

●1815〜CCTVインタビュー/国際倶楽部飯店

地元の人気司会者水均益氏による番組のビデオ撮りに出演。麻生太郎総理の個人的魅力に触れる番組のようでした。

●1900〜在留邦人との懇親会/大使公邸

いよいよ最後の日程です。大使公邸に在留邦人の皆さんが集まっていました。皆さんと情報交換、記念写真撮影とホッとする機会もありません。私も大変お世話になった中原さんと記念写真。19:45に大使公邸を出発し、北京首都空港に向かいました。

●2010〜北京発羽田へ/北京首都空港

すべての日程を終了し、北京首都空港から政府専用機で羽田に向かいました。3時間余りの間に、同行した記者さんらと記念写真を撮るなど最後まで時間を上手に使いきりました。
今回の総理随行して、副長官の役割が大きかったこと、責任の重い仕事であったことに驚かされました。また、印象的だったことは北京の空が真っ青でとても綺麗な空気だったことです。オリンピックの開会式のために北京に来たときはスモッグのひどさを感じたのですが、今回は全くそれを感じさせません。おかしいなあ、と大使に伺ったところ、オリンピック終了後も車の規制や工場の操業規制は継続されていること、そして23日に大きなビルを揺さぶるほどの強風が吹き荒れたそうで、それにより淀んだスモッグはどこかへ吹き飛ばされてしまったとのことでした。


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