松本純リポート2005

2005/04/08

自民党法務部会における主な論点への対応案

▼議員意見(7つの論点)

1.外国人に人権擁護委員に選任される資格を与えることは不適当。
(法務省対応案)
○現時点では、その取り扱いにつき保留。

2.人権擁護委員の推薦に当たっての団体構成員枠をなくすべき。
(法務省対応案)
○法案第22条第3項の「弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」との文言を削除する。

3.「人権侵害」の定義があいまいであり、恣意的解釈が可能。
(法務省対応案)
○法案第38条に、濫訴的な申出に係る事案等については、救済手続きを開始しない旨を追加するとともに、その具体例を規則で定める。
○法案第82条に、「他の者の人権を不当に侵害することがないように留意するとともに、本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用することがあってはならない。」旨を追加する。

4.不当な人権侵害の申出の対象とされた者の保護が不十分。
(法務省対応案)
○法案第38条に、人権侵害の申出があっても、その事実がないときは、申出の対象者が求める場合には、人権侵害が認められなかった旨の通知をする旨の規定を新たに設ける。
○勧告に対する不服の申出の制度を新たに設け、法案第60条以下に規定する。

5.人権委員会の判断に際しては、裁判手続きに準じた透明性を確保すべき。
(法務省対応案)
○申し立てられた相手側の意見を十分に聴取するなどの手続的担保については、これを規則中に明記する。

6.人権委員会に裁判所の礼状なしに捜索・差押えを行う権限を与えることは、憲法に反する。
(法務省対応案)
○憲法は、刑事責任の追及を目的とする逮捕、抑留、拘禁及び捜索等に裁判官の発する令状を必要とする旨規定している(令状主義)。
○本法案で令状主義が問題となりうるのは、立入り及び物件の留置であるが、人権委員会は正当な理由もなく立入り等を拒んだ者に、裁判所を通じて過料を課すことができるのみであって、相手方が立入り等を拒否した場合には強制することはできないので、令状主義に反するものではない。
○なお、行政機関が調査のために過料や罰金で担保された立入り等を行うことができるとする規定は、独禁法第46条、公害紛争処理法第42条の18等多数存在している。

7.人権擁護委員についての政治的中立性の規定がない。
(法務省対応案)
○現行の人権擁護委員には国家公務員法の適用が除外されているが、本法案の人権擁護委員については、非常勤の国家公務員であり、国家公務員法が原則として適用されるところ、同法第96条に「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、」との規定があり、この規定により、人権擁護委員は、職務を行うに当たっては中立・公平でなければならず、当然ながら政治的にも中立・公平でなければならない。

以上


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