松本純海外リポート2008

2008/07/06〜13

河野洋平衆議院議長フランス共和国及びイタリア共和国訪問随行

平成20年7月6日(日)〜7月13日

訪問団(総勢10名)

衆議院議長 河野洋平
衆議院議員 松本 純(自民)
衆議院議員 小沢鋭仁(民主)
衆議院議員 斉藤鉄夫(公明)
衆議院議員 穀田恵二(共産)
衆議院参事 紅谷弘志(秘書課長)
衆議院参事 甲賀一雄(議長秘書)
衆議院議員 築山信彦(議長秘書)
衆議院参事 長島義明(秘書課課長補佐)
議長警護官 小菅康義

河野洋平衆議院議長フランス共和国及びイタリア共和国訪問随行

目的は日本で9月に広島で開かれるG8下院議長会議の基調講演の依頼や出席要請です。そのために、フランスではシラク前大統領との懇談、アコワイエ国民議会議長との懇談、イタリアではフィーニ 下院議長との懇談、カジーニ前下院議長との懇談、ディーニ上院外務委員長との懇談等々たくさんの会議がセットされています。随行するのは自民・公明・民主・共産から一名ずつの代表議員と事務局・SPなど10名になります。

7月6日(日)晴れ

●1125(日本時間)・0425(現地時間)〜成田発HN205便でパリへ

成田空港に河野洋平衆議院議長はじめ今回の随行団が集結しました。結団式には河野、斉藤、松本の三議員と事務局が集合。他の議員は現地で合流します。いよいよ出発です。 成田空港発NH205便にてバリ・シャルルドゴール空港へ向かいました。機内では一時間ほどして昼食。エビ、グリーンサラダ、ステーキ、シャンパン、ワインと豪華な昼食でした。十時間ほどフリータイムでは、ジム・スタージェス、ケイト・ボスワーズ出演の「ラスベガスをぶっつぶせ」ドラマを123分。デニス・クエイド出演の「バンテージ・ポイント」が8つの異なる視点から見た大統領暗殺事件ドラマなどなどを観ながらじっと座席で耐えます。

●1621(以下現地時間)〜シャルルドゴール空港に無事到着

シャルルドゴール空港のそばに近づくと眼下には一面の畑。緑、黄色、茶色のコントラストが美しい。農業国を強く印象づけます。 少し肌寒い曇りの天候のパリに到着。約11時間半の空の旅でした。移動を開始しました。 飯村大使らの出迎えで、早速宿舎のホテルにチェックインのためインターコンチネンタル・パリ・ル・グランへ向かいました。

●1930〜現地情勢について駐フランス日本大使からブリーフィング/大使公邸

小沢鋭仁先生と合流し、19:20にホテル出発。チャーターしたバスで飯村大使公邸へ向かいました。途中街の中で目についたのは来週から始まるパリ祭の準備です。公邸に到着すると庭の豊かな緑に目を奪われました。そして19:40から歓迎夕食会と現地情勢ブリーフィングが始まりました。話題は経済と文化。ブルターニュ地方では日本からの投資が一番でキャノンなどのほかヨクモクも出てくるそうです。フランスでは日本企業の評価が大変高いとのこと。また文化においては、フランスは「発展途上国はODAで拓くが、フランスは文化で拓く」との考えが強く、国民は文化政策に投資することを当然と考えているそうです。そのフランスが日本にしかない「人間国宝・無形文化財」を高く評価しているから面白い。話題は次から次へ続きました。その後、22:00にホテルに戻り、ロビーで事務局との打ち合わせを行い、遅くならない時間に解散しました。


7月7日(月)曇り雨

●0400〜眠れない

時差のせいか何度も目が覚める。自分としては珍しい現象だ。カメラのバッテリーや携帯電話の充電が気になる。

●0830〜朝食ミーティング/ホテル一階レストラン

一番乗りは小沢鋭仁先生、二番が私。河野議長の到着を待ってまずは朝食。話題はサミットの様子で、気になる。また今日が一連の日程中極めて重要な日になります。詳細な打ち合わせが行われました。また午前中二時間の空きはフランス文化に触れることになりました。

●1000〜小型バスで移動開始

朝食後、準備を整えて10時にホテルを出発。天気は陽が出たり雨が降ったりで、時折強く吹く風に街路樹の葉っぱが踊っています。バスの中で河野議長の思い出話は「私が14,15歳頃、親父に連れられてソ連訪問をした。街の様子を見て親父は『この国は強大な国になる。怖いぞ』と語ったことが印象的だった。それは他の国に比べ乳母車が大きく頑丈で、いかにも子供達をしっかり守るという意志の現れが明確に示されていることだった。それはその子らに対する教育の覚悟にも通じるということだろう。」その親父の一言で、外交は美辞麗句を並べ立てることでなく、色々な国を見て我が国が学ぶべき点をしっかり掴み取ること、そして我が国の進むべき道を示していくことが政治家の仕事と河野議長は悟られたのでしょう。文化芸術も同様だと私たちに伝えたかっただと思います。

●1015〜葛飾北斎展/ギメ美術館

実業家エミール・ギメがアジア各国から持ち帰った東洋美術のコレクションを収蔵しているとのことです。美術館に到着すると、月曜日にかかわらず、外の歩道に長蛇の列が出来ています。北斎の人気が本物であることを知らされました。館長と学術員の丁寧な説明を聞き、数えきれない北斎の絵を堪能しました。浮世絵や九十歳で亡くなる直前の最後の作品にも驚かされました。

●1130〜モネの睡蓮/オランジュリー美術館

時間があれば先にモネの家の庭を見て、それからこの「睡蓮」を観ると100倍感動するのだが、と河野議長が教えてくださいましたが残念ながら時間がありません。早速モネの最後の大作「睡蓮」を拝見しました。二ヶ所の広い楕円形の展示室は、天井に張られた真っ白な幕の上から天然光がソフトに差し込み、特別な空間を造り出しています。四方を睡蓮に取り囲まれ、真ん中にチョコンとソファーが設置されています。今日のように混雑していない時に、真ん中に一人ポツンと睡蓮に囲まれたなら、どんなに贅沢なことかと思いました。

●1200〜会合準備/ホテル

午後から慌ただしくなります。着替えと準備のため一旦ホテルに戻りました。

●1300〜OECD代表部服部大使からブリーフィング/大使公邸

到着すると服部大使ご夫妻のお出迎えを受け、さらに先に到着されていたRachadFARAH元ジブチ大使ご夫妻、石井リーサ明理さんとも合流しました。緑豊かな広いお庭でしばしおしゃべりを楽しみ、昼食へ。話題は芸術関係からはじまり、OECDの抱える問題について議論されました。この組織については皆さんもご承知の通り、第二次世界大戦からヨーロッパ復興を目指したマーシャルプランからスタートしました。現在30ヶ国が参加していますが近々ロシアなど5ヶ国が新たに加盟する予定だそうです。日本は世界に追い付きたいと1960年頃夢中になって加盟運動を展開しました。今ではこの組織の分担金は、アメリカの25%に次いで、日本は15%。ドイツの8%に比べてもいかに貢献しているかは分かります。このOECDは、これまで農業、鉄鋼、造船などの国際ルールづくりに貢献してきました。しかし、昨今は食糧問題や人権問題などに別の組織がそれぞれに立ち上がってきており、OECDが何を担うべきなのかが、大きな課題になってきているそうです。曲がり角に立って、今後のOECDの在り方が問われそうです。

●1530〜松浦ユネスコ事務局長との会談/ユネスコ本部

ユネスコ本部は改修中で内部は工事現場のような状況でしたが、それぞれの機能は動いています。松浦ユネスコ事務局長にお招きいただき、事務局長室で現在の取り組み状況などについてお話を聞きました。 ユネスコの活動については理念は理解されつつも具体的な活動になると米国などのように協力を得られないケースもままあるようで、反ダンピング法について批准しないと米国へのオリンピック誘致に反対すると訴えると、あわてて米上院は取り組むといったような有様だそうです。これからは、経済水域の水中文化財の保護などが問題になってくると思われ、中国との関わりが懸念されるなら日本も早く対応しておくべきだとの助言も頂きました。そして「富士山の世界遺産登録」については、ゴミ対策だけでなく、周辺の開発が進みすぎたこと、自衛隊を別のところに移転できるかなど全体的な景観保全が重要な鍵とのことでした。さらに、教育問題にも触れられ、世界中で頭を痛めているのがこの問題だそうで、松浦事務局長は自論として、明治維新では33%もの教育予算をかけていたことを考えれば現在でも20%以上の予算を計上すべきではないかとのご意見でした。

●1630〜シラク前大統領との会談/シラク財団

会談の様子(抜粋・要旨)
▼シラク前大統領
今の日本の政治情勢は?
▼河野洋平議長
福田総理は上手くやっている。小泉・安倍両総理が急進的に仕事をやったあとなので、その始末に追われている。また、ねじれ現象の156日間の国会運営は難しかった。その間の出来事は反省すべきことが多かったのでつぎは改善しなければならない。しかし、次の国会が終わった頃には解散になるのでパフォーマンスが活発になるのが心配だ。両方とも百点を求めるが、ねじれ国会では無理。双方それぞれ六十点位を考えれば良いのだろう。
▼シラク前大統領
日本は良く手を打っている。G8の開催をお祝い申し上げる。積極的なサミットだと聞いている。日本にとっての成功だ。
約60ヶ国が加盟している「フランス語圏機構」という国際機関がある。私は日本が大好きだ。その日本がもっとこの機関に接近すべきだ。事務総長の前セネガル大統領には、今日河野と会うことを伝えてある。この組織は日本のためになる。国連においてもこの50〜60ヶ国は一致して動いている。国連の選挙にも役に立つので真剣に考慮して欲しい。
2008年北京、2012年ロンドン、2016年?、東京が立候補を決意した。フランス語圏機構の主要国は日本を支持するだろう。シカゴ、リオデジャネイロ、マドリッド、東京が手を挙げているが、スペインがそれにこだわっていないことを知っている。最終的にスペインは日本を支持するだろう。日本は今までフランス語圏機構を無視していた。前セネガル大統領を日本へ招待したら良いのではないか。
▼河野洋平議長
アラブ研究所を作った理由はなんですか?
私は2001年にカタールで「イスラム文明間対話」をテーマに会議を開いた。それは今も続いており、今年七回目の会議を開いた。今後も大きな会に育てていきたい。
▼シラク前大統領
私も賛成だ。アラブ・イスラムは米国とだけ優先的な関係をつくることは困難。極東とも関係をつくるべきだ。
▼河野洋平議長
今回の第七回会議はサウジ国王の参加により大きな会議になった。
▼シラク前大統領
非常に納得できることだ。本来サウジ国王はめったに他国に移動しないからだ。
▼河野洋平議長
宗教間対話をサウジ国王は望んでいるが、文明間対話の一つが宗教カテゴリーだ。ぜひアラブ研究所の話を聞かせて欲しい。
▼シラク前大統領
フランスはアラブと常に良い関係を続けている。私がアラブ研究所をつくったのは、政治・文化のレベルにおける相互交換を確たるものにするためだ。職業意識の高い研究所だ。任務はアラブ社会とフランスの関係をつくるために定期会議を開いている。財政的にも安定してきている。フランスばかりか他の多くの国がカバーしてくれるようになってきた。今でこ六百人が参加する大きな展開を見せており、しかも定期的に行われている。
日本とフランス語圏機構は最重要だ。50〜60ヶ国が動く。日本にとって有効なものになる。しかも彼らは日本の文化・歴史に関心高く、有利な土壌が整っている。

●1930〜アコワイエ下院議長との会談/下院

共産党の穀田恵二議員も合流し、フルメンバーで今回のメインイベントともいえるアコワイエ下院議長との会談に臨みました。フランス共和国下院議事堂に到着すると衛兵の居並ぶ中、アコワイエ下院議長のお出迎えを頂きました。早速会談の席へ案内され、両議長による会談が始まりました。

会談の様子(抜粋・要旨)
▼アコワイエ下院議長
河野議長がフランスの最高の勲章といわれる「レジオンド・ド・ヌール」を受章されたことを心からお喜び申し上げる。
▼河野衆院議長
この章を付けている間は日本のためだけでなくフランスのためにも働かなくてはならない(笑)。
また9月に広島で開催されるG8下院議長会議に早速出席のご返事をいただき誠にありがとうございました。アコワイエ議長には冒頭に基調講演を頂きたいと考えており、今日はそのお願いに参りました。我々人類はエネルギー、食糧、経済など様々な分野で問題を抱えています。長期的な問題解決を考えれば、G8で環境問題を取り上げたなら、我々下院議長会議では平和・軍縮をメインテーマにしたいと考えました。そのため会場は60年前に世界で唯一の被爆国となった我が国の広島を選びました。二度とこのような悲劇が起こらないよう、広島・長崎の被爆を地球上の最後にしたいのです。
▼アコワイエ下院議長
フランスの軍縮は誠実なもの、具体的なものにします。軍縮を進め、最小限の保有とし、抑制のためだけのものとします。現在の国際社会の緊張した状況を改善するには我々が模範を示していかなければなりません。世界の地政学的な変化は大きく、原理主義者たちは過去と変わってきました。世界のそれぞれの権利を守ることが平和を守ることに繋がっていくことと確信しています。
▼河野衆院議長
日本の国会は衆参でねじれ現象を起こしています。政策課題の解決を与野党に求めているが大変難しい国会運営を強いられています。二院制についてもお伺いしたいと考えています。
▼アコワイエ下院議長
フランスでも保革共存は何度もありました。なんとかうまく付き合うしかありません。それにより上下院の決着はだんだんよくなりました.制度と政治のずれは国民にとっては損になります。独裁は効率のよい政治手法だが、それよりも人権を尊ぶ議会制・二院制度の方が重要なやり方で、これこそ民主主義といってよいのではないか。
▼河野衆院議長
効率性だけを求めてはならないことはよく理解できるが、長い時間をかけることが国民のプラスになるかならないか、いつも迷っています。

会談が終了すると、別の部屋へ案内され、歓迎夕食会となりました。その中でも会談のなかで語りきれなかったことなどについて話し合いが続けられました。


7月8日(火)曇り雨

●0800〜朝食ミーティング

ホテルの朝食で今日の動きについて確認がなされました。荷物はただちにまとめチェックアウトし、視察に向かうことになりました。

●1000〜アラブ世界研究所視察

ドミニク・ボーディス所長の案内でアラブ世界研究所を視察しました。フランスの力によって作られ、アラブ諸国との連携を持って運営されています。年間100万人の見学者がある研究所で、財政資金は潤沢ではないがうまく運営しているとのことでした。50%が国からの支援、10%がアラブからの支援、そして残りの40%を企業の支援などによって賄っているそうです。驚いたことには、研究者といわれる人は誰一人いないそうで、極めて重要な文献などを持つ図書館の運営、アラビア語授業、見学者対応、イベント・劇の開催など文化的活動が主たる事業です。日本の政治家はアラブというと石油のことしか話さないが、双方の文化交流・文明間対話について日本はもっとアラブと共通の認識と理解をもたなければならないとボーディス所長は訴えました。

●1200〜「モネの家」視察/ジベルニー

ジベルニーはパリの北西約88kmのセーヌ河畔の小さな村でモネの家があることで有名です。ガイドブックによると、「モネの家」はモネが1883年〜1926年に亡くなるまで暮らした家で、季節の花が咲き乱れる庭と、外観をピンクとグリーンに塗り分けたアトリエが美しく調和しているとのこと。内部にはモネが収集した日本の浮世絵版画が所狭しと飾られ、代表作「睡蓮」のモデルになった庭園は多くの観光客でに賑わっています。オランジュリー美術館で壮大な「睡蓮」を観て来たところですから、そのモデルになった池は是非見てみたいと思っていました。目の前に広がる庭と花と池に圧倒されました。また「モネの家」に飾られている浮世絵版画から日本の文化に対する関心の高さを見ることが出来ました。日本人自身がもっと自国の文化に誇りを持たなければ・・・。

●1635〜シャルルドゴール空港発AF2104便にてローマへ

●1820〜ローマ空港へ到着

約二時間後ローマに到着すると、パトカー1台、白バイ2台の先導により無事にパリの宿舎であるエクセドーラに19:10に到着しました。 早速夕食ミーティングのため街のレストラン「Grappolo d’Oro」でシチリア料理、スパゲティを頬張りながらの打合せになりました。2006年1月に河野洋平議長随行でイタリアに訪問してから、議運理事として二回目、そして今回で三回目の訪問になりました。その間、中村大使は勿論ですが、当時からお世話になっている大使館の皆さん方とも再会です。


7月9日(水)晴れ

※0700(日本)〜第75回早朝駅頭演説会/金沢文庫駅

日本ではスタッフによる広報活動が行われました。「まちかど政治瓦版」7月号の配布枚数は、本日枚262/今月累計790枚(古正100/248、原26/130、斎藤60/238、関口-/3、森76/171)でした。

●0830〜朝食ミーティング/ホテル

午前中のわずかな時間ですが、イタリアの街の様子を覗こうということからカピトリーニ美術館の視察を行うことになりました。

●1000〜カピトリーニ美術館視察

ホテルから程近いカンピドリオの丘にあるカピトリーニ美術館は観光客でいっぱいでした。このカピトリーニ美術館はカピトリーノ美術館とコンセルヴァトーリ宮殿を併せた総称だそうです。広く長い階段を登りきると、ミケランジェロによって設計された美しいカンピドリオ広場に出ます。その中心にはマルクス・アウレリウス像が立っており、敷石の幾何学模様が広場をさらに広く見せています。古代のギリシャ、ヘレニズム、ローマ時代の彫刻が並ぶ内部を鑑賞した後、裏手に回ると、その高台から見下ろす眼下にはフォロ・ロマーノ全体が広がっています。慌しい視察でしたが、早々に切り上げ一旦ホテルに戻り、ネクタイ背広着用の服装に着替え、イタリアでのメインイベントに向かいます。

●1300〜フィーニ下院議長との会談/下院

イタリア下院議事堂にてフィーニ下院議長との会談に臨みました。

会談の様子(抜粋・要旨)
▼フィーニ下院議長
河野議長がイタリアを好んでいることを承知している。広島での会議のために訪問していただき、G8の一連の流れにあって下院アピールの意味は大きい。日本に近頃行っていないので9月の広島は楽しみだ。また、「二院制」についてイタリアを代表し話せることにも喜びがある。河野議長及びご一行の皆様を歓迎する。
▼河野議長
お時間をとっていただきお礼申し上げる。イタリア訪問は議長閣下に広島への出席をお願いするとともに、会議を進めるにあたってのご注意をいただくため。日程については事務的に既にお伝えしてあるとおり、9月1日は東京で宮中でのお茶会の準備を進めている。食事は翌日広島で美味しいものを準備する。東京広島間は政府専用機で一緒に移動していただく予定です。第1セッションで「軍縮・平和」について議論するので、最もふさわしい場所として広島を選んだ。国際問題としては環境、エネルギー、食糧、金融などがあげられるが、もう一つの大切問題は平和だ。「軍縮」といって広島を開催地に選べば、当然その意味は「各軍縮」である。国際社会でNPT体制が少し緩んできているが、きちんと守っていくことが大切。大事なポイントは「核を持っているところは軍縮」「核を持っていないところは核不拡散」で、それが目標だ。最近「核不拡散」の声は聞こえるが「核軍縮」という言葉が聞こえない。非核保有国は保有国に訴えなければならない。最近、サルコジ演説で各政策の縮減、透明化を訴えたことは歓迎すべきこと。このようなことを第1セッションで議論されたい。NPTで真摯に取り組んできているイタリアの考えを示して欲しい。また、フィーニ下院議長には第2セッションで「二院制」について基調講演をお願いすることになっている。
▼フィーニ下院議長
私も25年間の議員活動である時は与党、ある時は野党にいた経験がある。今年選挙があり上院では多数を取っているので貴国とは違う。ねじれ国会はマスコミも興味があることでしょう。また、「核軍縮、不拡散」は重要なこと。日本の皆さんだけでなく人類のシンボル的テーマだ。その飛檄をフィルムで見れば繰り返してはいけないことと思う。象徴的な場で「平和」を語ることには大きな意義がある。「不拡散」の声が多く、「核軍縮」の声が無いことには同感だ。両国とも核を持たない立場にあり、真剣に誠意を持って取り組むべきだ。民主的でない軍国が核を持つことは国際的脅威になることを知っている。そのような国に厳格なコントロールをするべきだ。気を抜いて注意しなかったことで放置すれば取り返しのつかないことになる。正当・公平な態度でその国々の真実を見ていかなけばならない。

●1530〜カジーニ元下院議長との懇談

前回の河野議長イタリア訪問時には下院議長であったカジーニ元下院議長と懇談しました。相変わらず豪快なカジーニさんでした。カジーニさんからは、「二院制については、日本・イタリアはよく似ているが、アジアでも他国はあまりにも制度が違うことを知っている。G8サミットも成果を収めたと聞いている。すべての国が外交に関心を持っているわけではないことを承知すべきだ。イタリア政界の中で私の立つ位置は野党側で大変難しい立場だ。政治的に安定する状況を作り出すのが私の役目。与野党の政策合意を求めるための協議を持つことだ。昨今の課題についても、石油価格問題、食糧問題、ミドルクラスが貧困に入ってしまう問題、エネルギー問題などすべてが将来を見抜けるような状況には無い。しかしこれらに結果を出さなければならないことについてIPU会長として頑張りたい」とのお話を伺いました。

●1930〜イタリア情勢について中村大使よりブリーフィング/大使公邸

中村大使公邸にお招きいただき、夕食(和食)と共にイタリア情勢についてブリーフィングを受けました。せみの声を聞きながらのティータイムもお洒落でしたよ。


7月10日(木)晴れ

※0700(日本)〜第76回早朝駅頭演説会/能見台駅・並木中央駅・並木北駅

日本ではスタッフによる広報活動が行われました。 「まちかど政治瓦版」7月号の配布枚数は、本日枚437/今月累計1227枚(古正・並木中央駅160/408、原86/216、斎藤・並木北駅118/356、関口-/3、森73/244)でした。

●0830〜朝食ミーティング/ホテル

今日の動きについて打合せが行われました。12:45からの内輪の昼食を挟みイタリアではフィーニ下院議長に次いで重要なディーニ上院外交委員長との会談に備えることになりました。

●1245〜内輪の昼食/Da Vincenzo

各種スパゲッティやカツレツを注文しシェアしていろいろな味を楽しみました。話題はこれからの会談に向けた準備でした。

●1530〜ディーニ上院外交委員長との懇談/上院

ディーニ上院外交委員長との懇談が始まりました。まずはじめにディーニさんから「お互いに外相経験者。再びお目にかかれて光栄です。この懇談を楽しみにしていました」、河野議長は「お時間をいただき感謝しています。両国双方に特別な不満や解決しなければならないことは多くありません。やや日本人がイタリーへお邪魔する機会の方が多いぐらいです」、するとディーニさんは「イタリーは日本よりちょっと貧しいので旅行の回数が少ないのです」と、ニコニコしながらやり合っていました。

懇談の様子(抜粋・要旨)
▼河野議長
今年9月に広島でG8下院議長会議が開かれる。アメリカを含む会合が広島で開かれるのは初めてのことだ。G8サミットは環境がメインテーマだったが、広島では「平和と核軍縮」をテーマにしたい。G8のうち4ヶ国は核を持ち、4ヶ国が核を持たない。イタリアにもNPTを指示していただいている。これをもっと前進させたい。
▼ディーニ委員長
アメリカを含めたG8下院議長会議を広島で開催することは素晴らしいイニシャチブだ。日本では衆議院が主導権を持っている。そういえば来週日本の参議院がローマに来る予定だ。参議院はフランス、ベルギーのように衆議院を保証する役目を持つものだと思う。一方イタリアでは完全平等、上下院とも同じ政治的責任を持たされている。貴国のように下院に優位性が合っても、下院議長が国の政府を代表するのではなく議会はチェック機能を果たすべき立場だ。広島でフィーニさんがイタリアの議会としての考えを示して欲しい。そして、今回の「平和・核軍縮」のテーマは良い。このところあまり話題にならないからだ。米露の段階的軍縮プログラムのスピードが遅くなってきている。広島で世界全体の核弾頭の数を減らす決議をして欲しい。

長時間の懇談になりました。意見交換・懇談は各参加議員からも質問が飛び出す活発な議論となり、国際問題となっているさまざまな課題が取り上げられました。

●1945〜河野洋平議長主催夕食懇談会/Vecchia Roma

公式なスケジュールを無事に終了してホテルに戻ると、いつもの案内係りのお嬢さんが笑顔でお迎えです。ホテルで着替えを済ませ、河野議長主催の夕食懇談会の会場となったVecchia Romaに向かいました。この頃になると、どこの店に行ってもイタリア料理が同じように見えてしまうのは私ばかりではないのではないでしょうか。しかし、さすがに議長の選んだレストランは違います。リゾットやお肉料理に皆さん舌鼓を打っていました。


7月11日(金)晴れ

※0700(日本)〜第77回早朝駅頭演説会/富岡駅

「まちかど政治瓦版」7月号の配布枚数は、本日枚314/今月累計1541枚(古正70/478、原87/303、斎藤110/466、関口-/3、森47/291)でした。

●0700〜ホテル出発

最終日となりました。観光地としても有名なナポリまで足を伸ばし、カプリ島を視察することになりました。朝7時にホテルをバスにて出発。

●1000〜ナポリ視察

3時間かけてナポリのモーロベペレッロ港に到着。水中翼船に乗り換えて約45分でカプリ島マリーナグランデ港に到着しました。そこからは狭い狭い島の道路を走れるようにミニバスで移動開始。話には聞いていた「青の洞窟」に挑戦し、幸運にも波低く見事に始めての経験で小さな洞窟の入り口から入り込むことに成功しました。洞窟の中に入るとビックリ!水が青く光っているではありませんか。そして何隻もの小舟の船頭さんの歌声が洞窟中に響きます。青の洞窟から程近いレストランで昼食をとった後、ソラーロ山にローウェイで登り、絶景を堪能しました。ヴィラ・サン・ミケーレを視察し帰路につきました。


7月12日(土)晴れ

●0830〜朝食ミーティング/ホテル

最後の朝食ミーティングです。今日の行動予定について確認がなされました。朝食後、書類の整理や荷造りで大騒ぎになりました。

●1200〜チェックアウト/ホテル

チェックアウトし、荷物を依頼してから昼食をとることになりましたが、時間はありません。なんと最後の食事はマクドナルドのハンバーガーになりました。しかし、これがなんとも懐かしい味がするのには驚いてしまいました。この味は世界共通なんですかね。

●1535〜ローマ発AZ330便でパリへ

まずはローマからパリへアリタリア航空で向かいます。チェックインして税関検査に行きましたが、その職員たちの態度の悪さに驚いてしまいました。日本のサービス精神というのは世界一ですね。

●1725〜パリ発NH206便にて成田へ

乗り換えもスムーズに終了し、ANA206便で一路成田へ向かいました。成田に着陸したのは日本時間で14:30の予定。約11時間の空の旅です。機内食は和食をお願いして、食事のあとはひたすら眠り続けていました。


7月13日(日)晴れ

●1430〜成田空港到着

予定通り、午後2時30分に成田に無事到着しました。荷物を受け取るなど手続きを終了し、空港を出たのは午後3時過ぎ。夕方、会合の予定があるため慌しく横浜に向かいました。